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歯について

2024.4.04

目次

こんにちは。「医療法人社団歯友会 赤羽歯科 上尾診療所」の歯科医師の立川です。今回は歯の豆知識についてお話をしていきます。

  • 美味しく噛めるために必要な歯の本数は?

 

「8020運動」という言葉を、ポスターなどで目にしたことはありますか?これは、平成元年から厚生労働省と日本歯科医師会が提唱した「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という運動です。
成人の永久歯の数は28本ですが(親知らずを除く)、80歳という年齢で、なぜ20本の歯を残す必要があるのか?それは、結論から言うと、20本以上の歯があれば食べるもののかたさ、大きさを制限することなく豊かな人生を歩めるからです。
新潟県の平成16年県民健康・栄養実態調査では、40歳から70歳以上の方で、「何でも噛んで食べることができる」と答えた人の割合は、歯の本数が20本以上の人で約80%以上。19本以下の人で、約45~60%と大きな差が出ています。
フランスパン、堅焼きせんべい、たくあんや繊維質の多い野菜等、噛めば噛むほど味わい深くなる食品は、18~28本の歯がないと美味しく噛むことが難しいと言われています。概ね20本以上の歯があれば、さほど支障なく、これらの食品も食べることができます。また、75歳を対象とした調査では、自分の歯が20本以上ある人は、19本以下の人に比べ野菜を多く摂っていることもわかりました。これは、歯が20本以上残っている人の方が、健康を維持するために必要なビタミンを摂取しやすい状況ということです。

 

 

 

  • 歯は毎日溶けている?

皆さんは、ご自身の歯が毎日溶けていることを知っていますか?酸性の強い食品を食べたり飲んだりした時に歯は溶けやすい状態になっています。とくに日本人の歯は、エナメル質が薄いとも言われているので食事の度に熱いものや冷たいものなど様々なストレスを受けています。

▲酸蝕歯(さんしょくし)

エナメル質はpH5.5で溶けてしまうのですが、健康に良いとされているビタミンC・クエン酸・アミノ酸・ポリフェノールなど、もっとわかりやすく言うと肉類(牛肉・豚肉・鶏肉等)、魚類・卵・砂糖・穀類(米・酢等)・野菜(アスパラガス・クワイ)・落花生・ビールetc…、つまりは高タンパク高脂肪の欧米型の食生活に偏ってしまうと「酸性食品」を多く摂りがちになってしまいます。
参考までにアルカリ性食品といえば、海藻類・野菜類(キャベツ・じゃがいも・ほうれん草etc…)・キノコ類・コーヒーetc…が代表的でしょう。

歯というのはミネラル(主にリンとカルシウム)からできています。
酸性度の強い食品ばかり食べていたり、堅い歯ブラシでゴシゴシと歯を磨いてしまったら歯がダメージを受けてしまい良くありません。
歯が溶けてしまう状態を脱灰(だっかい)と言い、だ液が酸を中和し、だ液に含まれるリンやカルシウムにより修復することを再石灰化と言います。歯は脱灰と再石灰化を繰り返します。再石灰化が追いつかなくなるとむし歯ができ、「酸蝕歯(さんしょくし)」として影響が現れます。脱灰と再石灰化のバランスがとれると歯は健康な状態に保たれます。
食事をする時ひと口30回は意識して噛むようにしたり、ダラダラと食べたり飲んだりしない習慣をつけてみるという方法がおすすめです。

  • 歯はいつ磨く?

以前から日本では、食後3分以内に3分間1日3回歯を磨くと虫歯になりにくい、という考えから『3・3・3運動』が盛んに呼びかけられてきました。しかし、この運動は虫歯予防というより、どちらかというと歯みがきの習慣化を促すためのものと考えた方が良いでしょう。実際はそこまでの予防効果にはつながらないようです。
それでは、虫歯予防に効果的な歯磨きのタイミングはいつなのでしょうか。

虫歯や歯周病は、それぞれ原因菌によってできます。原因菌は、夜、寝ている間にお口の中でどんどん増えてその危険性を増していきます。寝ている間はだ液がほとんど出ないので、原因菌が洗い流されることなく、菌にとって住みやすい環境が整ってしまうのです。朝起きた直後に 口が臭うのは、このことが原因と考えられています。

だ液は、天然のリンスと呼ばれるほど、お口の中で重要な役割を担っています。私たちはお口の中にだ液があることで、虫歯や歯周病をある程度防いでいます。だ液は、食べ物を良く噛んだり、おしゃべりをするなど、お口を刺激すると出てくるので、寝ている間はどうしても、だ液の分泌が少なくなってしまいます。
また、食後はお口の中が酸性の状態となっているので、食事を終えてすぐに歯を磨くと歯を傷つけやすいと言われています。

これらを踏まえると、歯磨きは「夜寝る直前」と「朝起きて朝ごはんを食べる前」に行うのが効果的と言えるのではないでしょうか。毎日がんばって歯を磨いても虫歯ができてしまう人は、一度、このタイミングで歯磨きを続けてみて効果を試してみてください。

いかがでしたか?自分の歯についてすることはとても大切です。

一度歯科医院に検診に受けに来てくださいね。